心のキズにキスをする。【完】

9.守られる女





────────翌日。目を覚ますと一番最初に視界に飛び込んできたのは浅倉君の寝顔だった。





「っ、」


昨夜見たときと変わらない端正な顔が目の前にあり、驚いて片足だけベッドからずり落ちた。パチパチ、と大きく瞬きをして、心臓を落ち着かせ、寝息をたてている浅倉君を凝視。



毛穴も見えない綺麗な肌。形の整った鼻。長い睫毛…。中学生のときから綺麗な顔をしているとは思っていたけれど、大学生の浅倉君は大人の男の顔になっていて、より眉目秀麗だ。



「…羨ましい」


こんなに素晴らしい遺伝子を持っている浅倉君。一体これまでどれほどの女の子を惚れさせたのか。まあ、あたしもその中の1人だけど。




「ねむ、…」



ふあ、と大きな欠伸をして、カーテンの隙間から零れる日差しに目を細める。外は明るい。天気が良さそう。月曜という憂鬱な週の始まりだけれど、晴れていると気分は幾分か紛れる────────。



「……、」




今、何時、だ。




蘇る、つい最近のあの日のこと。起きたら11時という恐怖の瞬間。2限が始まる10分前に起床という悲劇。



グルリ、と視線を回すと、テーブルの上に浅倉君のスマホを見つけた。床になだれ込むようにベッドから降り、勝手に浅倉君のスマホで時間を確認する。



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