心のキズにキスをする。【完】

13.疑われる女





──────土曜日。学祭2日目。

今日も井槌さんの大学の学祭に行くあたしは、明日香と2人で電車に乗っていた。明日香は今日もヒールの高いパンプスを履いており、歩くの疲れない?と聞いたあたしに、


女は必ず体験する痛さよ、とやけに真面目な顔で明言。


お洒落は我慢と言うが、明日香はそれと同じことを言っているのかもしれない。




「今日こそイイ男見つけるぞー」

「…、」



ぺたんこのバレーシューズを履く自分の足元を見つめる。…ヒールのある靴なんて全く履かない。スニーカーか、こういうヒールのない快適なバレーシューズばかり。



…まあ、いい。何を履こうがその人の自由。好きな物を選べばいい。誰に何を言われようが、自分の見の丈に合う好みの物を。




「てか、結衣。井槌さんに会うんだから脚出しなさいよ、脚。昨日も出してなかったでしょ。せっかく井槌さんと会うんだからもっと気合い入れた格好しないと」

「……、あ。うん、ごめん」




あたしの思考を見事に遮った明日香に呆然とする。


…ああ、まあ、そうか。今後付き合うかもしれない男性と会うとき、普段と違う格好をして、心持ちだけではなく外見もきちんとすることが普通、か。





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