心のキズにキスをする。【完】

1.都合のイイ女






「最早伝説だよね。結衣に間違えてLINEしちゃったってどんだけドジだよ。アホすぎて泣けてくるわ。しかも4回目って。1回目は冷蔵庫開けたら女が作ったメッセージ付のオムライスがあって、2回目は女とラブホ入って行くとこ見て、3回目はゴミ箱に使用済みのコンドームと女の靴下が落ちてて4回目はLINE送信ミス。これは本にできる。本にしてみよう、結衣」

「すんごいバカにしてるよね」



大学の食堂にある窓際のソファ席。くすんだ赤のソファにふんぞり返った体勢のまま、友人である明日香あすかは「してないしてない」と半笑いで否定する。



見るからに適当な返事に言い返す気にもならず、カフェラテのストローを口に当てたまま溜め息を吐き出した。



「バカにしてはないんだよ。ただ純粋に結衣の彼氏ヤバいから本にしたらウケるんじゃない?ってこと」

「なんで世に広めようとするの」

「儲かる」

「誰も買わないって」



何が面白いんだこんな話。自分の彼氏がめちゃくちゃ浮気するって話。誰も得をする話じゃない。



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