心のキズにキスをする。【完】

エピローグ






これで何度目だろうか。






「運命的すぎるわ。何?昔付き合ってた男と飲み会で再会して、それをきっかけにまた結ばれる?どこにあんのそんな話!」





明日香がするこの話。運命的すぎるらしい、この話。これで3回目だと思う。だからこうして、この話をつまみに明日香が興奮している光景を見るのも3回目ということになる。



明日香がジョッキ片手にバンバンと強くテーブルを叩きつけた。その振動でお皿の上に置いている箸が転がって床に落ちる。


その箸は明日香が使っている物。でも当の本人は箸が落ちたことにも気づいておらず、渋々腰を曲げてあたしが拾う羽目になる。





「羨ましすぎるわ!いいなー結衣。あたしも中学のとき付き合ってた名前も覚えてないあの男子と再会したい」

「あー…あたしは高校のとき別れちゃったちー君とまた付き合いたいかも。イイ男だったんだよねぇ…」

「…、」




向かいに座っている茉菜さんが頬杖をついて、感慨深げに呟いた。その目はどこか遠くを見ているような気がする。



拾い上げた箸を明日香の前に戻し、ポケットからスマホを取り出して時間を見れば午後9時半前。



0
  • しおりをはさむ
  • 605
  • 14787
/ 474ページ
このページを編集する