心のキズにキスをする。【完】

4.タイプの女







結衣に会いたいんだってさ、井槌さん。






水曜日。今日の授業は2限しかない。だから今日はわりと比較的楽な日で、いつもだったら気持ちは晴れやかなのに今日は違った。


なんせ、井槌さんと会うという突然すぎる予定が入ったからだ。






教室に入って来た明日香は開口一番そうあたしに言った。

あからさまに眉を寄せてみるも、明日香は何の悪びれた様子もなく笑顔のまま。睨みを向けてみても、明日香は楽しそうに笑っている。



「昨日、茉菜さんを通して結衣に会いたいってこと言われて、あたしびっくりしたよ。さっそく行動に移したな、井槌と思って」

「呼び捨て…」

「結衣、基本水曜はバイト入れてないし。これはイケるぞと思って。本当に入ってなくてよかったよ」

「入れればよかった…」




頬杖をつき、溜め息を落とせば明日香は唇を尖らせた。今日はブラウンが強めの赤いリップをつけている。


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