香坂さん家の孫娘─上─【完】

「暴れた、の?」

「まぁ、ある意味暴走してた」

「倒れた人とかいなかった…?」

「先代は(近付けなかったから)大丈夫だったけど、現役のヤツは(鼻血だして)倒れたのがいたな」

「…ごめん」


思わず下を向けば、氷雨はふっと少し笑った。

……こんなに笑う人だっけ?


あ、いや。


「ふふっ」


私もか。


何だか最近顔の筋肉がよく動く。

嬉しく思ったり。

怒ったり。

泣いたり。


「まだ夜中だ。寝ろ」

「……うん」


氷雨にそう言われて、また睡魔に襲われた私は、ここがどこかを聞くことなく、眠りについた。


「…くそ…心臓にわりぃな」


すっかり夢の国に入ってしまっていた私に、氷雨の呟きは聞こえなかった。

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