サイドキック【完】






見上げた空が途轍もなく綺麗だった。

澄んだ青空。切り取った視界の中に時折映り込む、飛行機や野鳥たち。




「いきますよー」



カメラを構えた女生徒の声が聞こえて、慌てて視線をそちらへ向けた。

そんな俺を見て殊更笑みを飾る佳宏。そんな男を見て頬を染める、通りすがりの女生徒たち。






「はい、チーズ!」



カシャリ、と響いた音の直後に行った瞬き。その瞼の裏側で、さっき見た綺麗過ぎる青空の残像が見え隠れしていた気がする。



























シャッターが切られた瞬間。

男同士にしては近すぎる距離で向こうのカメラに視線を伸ばしていた佳宏の声音が、俺の鼓膜に静かにおとされた。




「将来さ、」



奴は言う。







「俺とお前の子供が結婚したりして。そんなふうになったら、良いのにな」






それは何年も隔てた後に実現してしまう、他愛ない夢物語の一端。






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