サイドキック【完】

番外編 /前編







* * *




「つーわけで今から倉庫行くぞ」

「はぁ!?なにが『つーわけで』だよ!なんも言ってね―――」

「おや。ユウキさーん?」



口角上げて振り返ったヒロヤは不敵な笑みを湛えたままに視線をおとす。無論、頭ひとつぶん背の低い私に向けて。





「男の口調やめるっつってなかったっけ?」

「うっ、」

「ついでに言うともし使ったら、っていう約束したよなぁ」

「―――ぐっ……」







なんてムカつく野郎なんだろうか。

にやにやと締まりのない笑みを浮かべたままに私の顔を覗き込むヒロヤ。ぐるんと顔を背ければ間髪を容れずに追ってくる。


「………うっざい…」

「あ?テメェいい度胸してんじゃねぇかコラ」

「してませーん」

「あ?お、おい。そういうキャラに沿わない発言やめろって!どういう反応したらいいか困るじゃねぇか」

「してませーん」

「おいコラ、てめ……」







あ。そう思ったときには既に遅かった。

ピキリと青筋を立てたヒロヤは目にもとまらぬスピードでこっちに向かってくる。まさに早業である。






「わ、分かったわかったから!」

「分かってねぇからこんなことになってんだろ」

「わかってるよ!」

「わかってねぇ!」

「わかってるってば!」

「わかってねぇ!」

「―――わかってるっつってんだろうが!こんのクソ野郎がよ……ォ…」






てへぺろ。(またやっちゃったよ)





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