君と明日を駆ける

5.Conflict

一年前までの私は、陸上が全てだった。


「栗原ー! どうだった? ちゃんと撮れた?」


ビデオカメラで映像チェックする私の元に、有川が笑顔で駆け寄ってくる。


「うん! ばっちり撮れてるよ!」

「見せて!」


汗を拭いながら覗き込んでくる有川に、今撮った走りを見せる。タイムもなかなかよかったし、フォームも崩れていない。

私的には有川の癖が改善できたのではないかと思っていたけど、本人は納得いかないのか、映像を見た瞬間、怪訝そうな顔でボソッとつぶやいた。


「ブレてるな」

「そうかな? 私はよくなったと思ったけど」

「全然だめだ、こんなんじゃ。もう一本走らせて。そのあとお前撮るから」


そう言って再びグラウンドに戻る有川に、カメラを向ける。もうこれで何本目だろう。



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