君と明日を駆ける

4.Bluff




春の風が初夏の風に変わる頃、有川との夜のランニングはいつの間にか日課になっていた。

いや、正しくは日課にさせられていた。

毎日懲りずにやってきては私を誘い出し、どんなに断っても家の周りをちょろちょろし、なかなか諦めようとしない有川に、私が折れたのだ。

不審者がいると通報されては困るし、近所の目を気にした結果、こんなことになってしまった。

とはいえ、私は相変わらず自転車で伴走。

最初はそれもしぶしぶだったが、最近はそれが意外と気晴らしになって、その日の嫌な出来事とか、そんなものがスッキリと洗い流されるような気持ちになった。

夜だと人目にもつかないし、有川の言うとおり体もなまっているから眠る前の運動にちょうどよかった。

それに有川には全くというほど気を使わない。すっぴんだろうが、ジャージだろうが、そういったことを気にしなくてよかったのも要因だった。


この日も当たり前のように私の家にやってきた。


「お疲れ」

「おう」


適当な会話を交わし有川が乗ってきた自転車にまたがる。だけどこの日は少し違和感を感じた。

いつもだったらすぐ、今日の練習メニューはこんなんだったとか、大会がどうだとか、部活の話を聞いてもいないのに私の耳に入れようとしてくるのに、ちょっとテンションが低いと言うか、口数が少ない。


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