プラスチックエリア【完】(オリジナルバージョン)

「青野くんね、笑うとすっごいかわいいんだよ。みんなが何をもってしてキモイとか言ってるのか……私には理解できないんだけどね。さっき青野くんにも言ったんだけど、みんなも……少しでいいから青野くんに歩み寄ってみて?」

「……」

みんなはどうしていいのかわからない、と言った様子でオレを見た。

オレは恥ずかしくなって折り紙の輪飾りを作る作業に戻った。

「確かに、桜の言うこともある」

「え」

「青野ってさ、青野のくせに……笑うとちょっとだけ……かわいかった」

女子の声が背中からした。

「マジで?」

「キモい」

「急にどうした? なんか呪文唱えられた?」

「いや。マジでね青野はキモいの……でも、一瞬……アレ? って」

みんなその子の言葉を待っている様だった。

「ワンコみたいだった」

「は」

「ワンコ」


「ワンコって犬?」

「そう……なんか、青野って犬っぽい。種類で言うと、ほらシベリアンハスキー的な?」


みんなが一斉に笑った。

背中に刺さる視線が痛い……ワンコって、なんだ! キモイよりはいいけど、ワンコって。

と、思っていると日比野がアハハと笑った。

「うん。青野くんって確かに、ワンコ系かも」

「カラス系っぽいけど」

「カラスってなに? あはは、ワンコ」


日比野は相当ツボだったのか大笑いをしている。

これは、喜んでいいのか悲しんでいいのかわからない。

そう思っていると、肩をポンポンと叩かれた。

「?」

日比野がオレの横に座るとクスクスと笑いながら折り紙を手に取った。

「青野くんって、やっぱりワンコ系」

「……意味、わかんねえ」

「褒めてるんだよ」

「……」

「かわいいって意味だよ。男の子にしたら嬉しくないか……でも、褒めてるんだよ」

なんだか嬉しそうな日比野を見ていたら、オレは幸せな気持ちになってきて微笑み返した。

「!」

「日比野が……笑ってくれるならそれでいいや」

「……」

日比野は頬を染めるとオレをまっすぐに見ていた。

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