プラスチックエリア【完】(オリジナルバージョン)

「まぁ……オマエの趣味よくわかんないからなぁ」

「そうかな」

「そうだよ。オマエ、なんかの番組とかでアイドルとかと一緒になっても興味なさげだし、女優さん見てもボヘーっとしてるし……つーか胸、でかい?」

「……胸……普通だよ……たぶん。そんなジロジロ見たことないから解んないけど」

「ははは。じゃあ、俺の趣味じゃねえな。残念!」

「最低だな。胸かよ!」

「バーカ、胸は男のロマンだからな」



ふふふと笑ったジンちゃんは後部座席を指さした。


「あ~もう着くよ。早く、後ろ行って着替えな」

「あ、うん」


信号待ちの間に、後部座席に移動するとモゾモゾと制服を脱いで着替えを始める。


高校生だという事も、一応非公開なおかげで制服で現場入りすることはできなかった。


「ああ。めんどくせえ」

「臣が変装してるから悪いんだろ。オマエが普通に生活すれば、色々公開したっていいんだけど」

「変装じゃないもん、ってか事務所的にありなの、それ?」

「ありだってば、オマエだけじゃん変なカッコ」


「変じゃないもん!」


オレが思わずムキになるとジンちゃんはクスクス笑った。


「変だよ。自覚しろ! みんな素顔だもん、オマエだけビジュアル系みたいだし」

「う」

「図星だろ?」



ユーマくんの叔母さんが事務所の社長だ。

たまたま駅前で演奏している所を見て、半強制的に事務所に入れられた。

そのあとは、オリジナルをいきなりアニメのエンディング曲に使われた。

事務所はモデルや役者しかいなくて、バンドを抱えるのは初めてだった。


所詮ガキのバンドで一発屋だと言われてきた。


それから3年ほどがすぎた今でも大きな会場も一杯にできてツアーチケットもすぐにソウルドアウトするバンドになっている。


それは、歌詞も曲も最高なのとメンバーみんなの人柄と、周りのスタッフや出会ってきた人達に恵まれたのだとオレ的に思って感謝していたのだった。


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