プラスチックエリア【完】(オリジナルバージョン)

 後夜祭がはじまって、みんなの輪から少しだけ離れたところで座って炭酸のジュースを飲んでいた。

「ああ、終わっちゃうね」

「だなぁ……でも、オレと桜は始まったばっかりだよ?」

「……もう、そんなキャラだっけ?」

「うん。だから言っただろ、猫被ってたって」

「そっか。うん……それもまたヨシ! ってヤツよね」

「ダメだった?」

「ううん。もっとメロメロにさせてくださいよ」

「……っぷ。うん」

「ああ。笑う所じゃないでしょ?」

「いや。メロメロって微妙に古くね?」

「……もう!」

「あはは!」


何も変わらないけど、何かが変わった。


「プラスチックエリア。だな、マジで」

「?」

不思議そうにオレを見上げた桜に微笑み返す。


『ガラスみたいに質がいいわけじゃない。

でも、見た目は同じで自分自身で区切ってる。区切られている空間でみんな生活してるんだよ。

 ちょっとした切り替えで、一歩踏み込むだけで、あっちにもこっちにも行ける。そんな意味だよ』


数年前、ジンちゃんがオレに言ったバンド名の意味だった。


「今度教える」

「うん?」


夏がはじまろうとしていた。


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