プラスチックエリア【完】(オリジナルバージョン)

 あの時、変わった空の色が満たしてくれる今を大切にしていこうと思いながら毎日を過ごしていた。

季節はいつの間にか、冬になっていた。

桜と付き合って間もなく、夏休みに入った。
ツアーであっちこっちを回ってる間に時間は過ぎてしまった。
そして気が付けばもうすぐ冬休みだった。


『もうすぐクリスマスだねって言っても、まだまだあるけど』

「ほんと、ごめんな」

『もう、いいって。ちゃんと花火も水族館も行けたじゃない』

「うん」

電話の向こうでクスクスと笑う桜が愛おしい。

人をスキだとか大切だとか思うと、毎日はこんなにも早く過ぎてしまうものなのかと感じていた。

「クリスマスどーする? どっか行く?」

『ううん、新しい曲できそうなんでしょ? 聞かせてくれるって言ったじゃない』

「……そうだっけ?」

『もう!』

「あはは、嘘だよ。じゃあ……オレん家でいいの?」

『うん、お邪魔していい?』

「いいよ、冬休みの宿題、見せて?」

『もう!』

「あはは! うそだよ。ちゃんと終わらせる」

『ホントに? すごい』

「ユーマくんっていう優秀な家庭教師がいるからね……さて、じゃあ、頑張ってくるよ。帰ったらまた電話する」

『うん……急いでお風呂入って、テレビの前で正座しておくよ』

「あはは! すげーかっこいい演奏するから、気絶するなよ」

『うーん。電話にでなかったら気絶してると思って?』

「あはは! うんリョーカイ」


電話を切って鼻歌混じりにスタジオにもどる。

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