プラスチックエリア【完】(オリジナルバージョン)

 朝日の中でニコリと笑う臣くんと、見慣れた通学路を歩いた。

帰りは時々一緒になったけれど、朝はなかった。そう思うと、とても貴重な時間になる。

 臣くんといる一瞬、一瞬が本当に宝物みたいに大切だ。

もし、明日が来なくても……ここで死んでしまってもいいような気になる。

 そのぐらい、幸せなのだ。


 始まった球技大会は、あまり好きではない行事だけど、バスケをやっている臣くんは、やっぱりかっこよかった。

 ベースを弾きながらあれだけ動きまわったりしているんだから体力はあるのだろうと思っていたけど、ドリブルも上手いし走るのも速い。


 額に浮かんだ汗が短い髪から光の粒になって離れた瞬間、回りの女の子たちからため息がこぼれた。


「マジで……造形が美しすぎる。青野じゃなくてシアンだわ」

「あの汗はシャボンの香りがするよ……きっと」

「神様、ありがとう」


1年生や2年生の子達も、うっとりとして言った。


背が高いだけじゃない、動きにも無駄がなかった。

みのちゃんからパスが回るとドリブルをして、軽々と飛んだ。


すい。

っと、言う文字が見えたように感じる動きでリングにボールを入れるとホイッスルが鳴った。

「うえーい」

「あはは!」

男の子たちと嬉しそうにハイタッチをする姿は、キラキラして眩暈がしそうなほどかっこよかった。




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