プラスチックエリア【完】(オリジナルバージョン)

sweet sky1 /omi 9

 桜の家のパン屋は、クリスマスが終わるまで喫茶を休業していた。

打ち合わせ中に電話をすると『コーヒーだけならもっていきますよ』と快諾してくれたという事だった。


「学校、行けてないから桜ちゃんに会うの3日ぶりとかだろ」

「うん。電話では話してるけどね」


桜がコーヒーを持ってくるとみんながニヤニヤとした。


「あれ? 桜ちゃん、かわいいピアスだねー」

「! じ、ジンちゃん、マジでバカ!」

「っだよ、オミくん。俺は桜ちゃんを褒めてるの! 髪切ったんだよねーかわいー! ピアスがよく見えていいねー」

「ジン、そのくらいにしときなさいよ」


桜が真っ赤になって俯きながら言った。

「じ、ジンさん絶対わかってて言ってますよね?」

「あはは、あはは! バレた? でもマジで桜ちゃんはかわいーよ」


オレはジンちゃんのイスをガシガシと蹴った。


「もー、オミくんったらやめてよー!」


クネクネとしながらジンちゃんが言う。


「じ、ジンちゃんが桜に変なことするからだもんね!」

「ウッセエ! オミのヘタレ」

「ジンちゃんのバーカ!」

「だぁ? 俺はバカじゃないです!」

「三角形の面積を求める公式も知らない人はバカだもんね!」

「じゃあ、なんだ? 赤ちゃんは知ってるのか? え?」

「ふん! ジンちゃんはバカだ。もう口きかないもんね」

「あはは! すねるなよ~、オミくんはおもしろいなぁ~」


ツイツイとオレのほっぺを突いたジンちゃんは楽しそうに笑った。


桜は恥ずかしそうに微笑みながらオレとジンちゃんを見ていた。


「桜ちゃん、見て見て。子供のケンカだろー、アイツらいつまでたってもお子様でお兄さん困っちゃうんだよ」


アニがそういいながらコーヒーを飲んだ。

コーヒーのいい香りがして、ジンちゃんが立ち上がる。


「あ~、臣のことからかってたら喉乾いた。俺もコーヒー飲もう! からかってごめんね? 臣くんかわいいから、いじめたくなっちゃうんだよねーってか……コーヒーは桜ちゃんの淹れたヤツが一番うまいな」

「ありがとうございます」


はにかんで笑った桜はいつものように返却用のカゴを置くとエレベーターホールに向かった。


「桜!」


エレベーターに乗り込んだ桜に慌てて声をかける。


「!」


大急ぎで『開』ボタンを押した桜を抱き締めるようにしてフロアに引き出した。

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