プラスチックエリア【完】(オリジナルバージョン)

「桜、まだ怒ってるの?」

「……もういい」

「あはは。だって桜が」

「?」

「あんまりにもかわいい顔でオレを見てるからだもんね」

「もう、天然タラシ!」


ポカスカとオレを殴りながら学校の敷地内に駐車しているジンちゃんの車をノックしてドアを開ける。


「すご。高級車……初めて乗る」


桜は少し戸惑った様子で車に乗り込んだ。

ジンちゃんはオレがドアを閉めると振り向いて笑った。


「何、じゃれつきながら歩いてんだよ。可愛すぎておにーちゃん意地悪したくなるだろ?」

「あはは!」


ジンちゃんの横に座っていた美里ちゃんも振り向いて笑った。


「臣。あんまり女の子をイジメちゃだめよ? ……こんにちは。上田美里です」

「あ! こ、こんにちは、はじめまして日比野桜です!」


桜と美里ちゃんが顔を見合わせる。


「美里、オマエ後ろ行けよ」

「そうね。臣。早く降りて」

「あ、はい」

一旦車を出ると美里ちゃんと座席を変わる。


「なんで?」

オレが聞くと、ジンちゃんはドライブにギアを入れてから言った。


「俺らは撮られてもいいけどね。こういう日は週刊誌のヤローも狙ってるからね。美里もいいとは言ってるけど、めんどくせーじゃん。ここの学校は警備もすごいけど、芸能人多いからいいけど、これからホテル行くんだぜ」

「ほ。ホテル」

「あ。桜ちゃん、大丈夫だからね。エロいホテルじゃないから」

美里ちゃんが後ろからジンちゃんを叩いた。


「バッカじゃないの。あたりまえじゃない。桜ちゃん。大丈夫よ。ホテルっていってもちゃんとしたホテルだし。一応こんなんでもVIP待遇してもらえるジンだから」

「あはは。大丈夫です」


後部座席で美里ちゃんが微笑んだ。


「私と、ジン。と、臣はね。幼馴染なのよ。みんな同じ商店街の外れで産まれて過ごしてきたの」

「そうなんですか! すごい」

「臣は昔っからかわいかったけど、ジンはクソガキだったんだよね」

「クソガキってなんだよ!」

「うるさいわね。前見て運転しなさいよ」


オレはジンちゃんをチラリとみると何だか嬉しそうに口角をあげてハンドルを握っていた。

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