プラスチックエリア【完】(オリジナルバージョン)

sweet sky2 /omi 10

 車の中で美里ちゃんが楽し気に話し出した。

カーステレオのFMからは昔から定番のクリスマスソングがあれこれと流れて、流れていく景色も彩りにあふれていた。


「臣は、小学校の頃はすごい細くって小さくて泣き虫でいじめられてばっかり。でも、ジンがね『オミをイジメていいのは俺だけなんだ』って臣をイジメてた子たちをかたっぱしから殴ったの。もう大騒ぎよ」

「そうだよ、シジイとかーちゃんも校長室に親も呼ばれて滅茶苦茶怒られたんだけどな……あれはあれでよかったんだよ」


オレは小さく笑った。

あの時からジンちゃんは本当にヒーローで、かっこよかったんだ。


 オレのうちは貧乏で……いや、それだけじゃない。

ネグレクトと言うヤツでマトモに風呂にも入ってないし、毎日毎日同じ服で、髪も爪も伸び放題で飯も給食以外ろくすっぽ食ってなかったオレはイジメの標的だったのだ。

 今考えれば『どうぞイジメてください』と全身に書いて歩いているようなものだ。


もっと自分がしっかり信念みたいなものがあれば違ったかもしれない。と、思っても今更な話で、無知で無力な子供のオレにはどうする術もなかったんだ。

でも、それがあったからジンちゃんはオレにとって永遠のスターだったりするのだ。

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