プラスチックエリア【完】(オリジナルバージョン)

sweet sky 3 /omi 11

 オレはヘッドホンをつけると、アンプのスイッチをONにしてベースを弾いた。

 ジリジリとしたそこから湧いてくるような感覚がたまらない。

 そしてなんだか昨日よりも音が重く澄んでいるような気がした。

 うたた寝をして心地いい目覚めを迎え、クリスマスで賑わう街を自転車で走る。

風は冷たかったけれど、マフラーを口許まで引き上げて桜の家に向かった。

パン屋からクリスマスケーキのはいっているであろう箱を大事そうに抱えた親子が出てくるのを見てホッコリとした幸せな気持ちになる。


「やあ! 臣くん」


クローズという看板を出しに来た桜のお兄さんが笑った。


「もう、おわりですか? すごいな、ケーキ完売?」

「うん、うちは小さい店だしね。沢山作って余ると勿体ないからね。完全予約制にしたんだよ。お陰でご予約のお客様のお引き取りが終われば仕事も終わり! 自分達もクリスマスを楽しめるってわけだよ」

「なるほど」


オレが納得したように頷くとお兄さんが手招きをした。

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