プラスチックエリア【完】(オリジナルバージョン)

「桜のとこのパン屋さんのメニューにはないじゃんか……だからクロックムッシュ頼むんだけど、フレンチトースト美味しいよね。大好きかも」


臣くんは子供みたいに笑った。


「そうだったの? 言ってくれたら作るよ」

「マジで?」

「うん。じゃあ……シアン様裏メニューで」

「あはは、うん! よろしくお願いします! わーい」

「ふふふ、かしこまりました」

「でも……クロックムッシュも食べたいからどっちも頼むね」

「あはは! 成長期?」

「そうそう」

 家から持って来た残り物のパンで作ったフレンチトーストを見て嬉しそうに笑う。

フレンチトーストはよく母が作ってくれた。

 パンが余るとこうしてフレンチトーストになって朝ご飯やおやつに出てくるのだ。


「家で余ってたパンを持って来たから、ごめんね」

「ううん、すげえ! ……フレンチトーストってさ」

「うん」

「ジンちゃんちのお母さん……おばさんが作ってくれて、よく食ったな」

「そうなの?」

「うん。だからジンちゃんとアニも喜ぶ」


臣くんにとっても思い出の味なんだと思って頬がゆるんだ。

今度ジンさんたちにも食べてもらおうと思いながら、コーヒーに口をつける。


「ふふ、じゃあ。絶対頼んでね? あ、今度オーダーなくても出すわね。食べてもらいたいから!」

「あはは! うん」


嬉しそうに甘いフレンチトーストを食べる臣くんを見て小さな幸せを感じていた。

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