プラスチックエリア【完】(オリジナルバージョン)

「こうして、一緒に居られれば……場所なんかどこでもいいんだよ」


「……そか」

「うん。どっか行きたいときは言うよ」


「そか」


「うん」



実際行きたい所なんかなかった。


あったとしても、ロンドンやドイツのクリスマスマーケット何ていうもので「はい! 行こう!」とかいう物でもなかったし、連れて行って貰うような場所でもない。


 デートスポットで言うなら、と、考えて「あ」と声を出すと臣くんは微笑んで首を傾げた。


「ねえ。臣くんがいつか免許を取って車を買ったら……この街じゃない海に連れて行ってよ」

「! うん。わかった」


「車でね、お気に入りのご機嫌な曲を聴きながらふたりで笑って行くの、素敵でしょ」


ハンドルを動かすような仕草をして見せる。

「うん、お安い御用だ……って免許の試験合格しなきゃね。頑張るよ」

「うふふ、そうだね」


優しく微笑んだ臣くんは私の頭をポンポンと撫でた。


臣くんの家から帰ると自分の部屋がなんだか異空間のように感じた。


彼がいないのは寂しい。


もっとずっと一緒にいたい。

そんな願いがいつか叶いますようにと、遠くから聞こえる教会の鐘の音に目を閉じて祈ったのだった。



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