プラスチックエリア【完】(オリジナルバージョン)

New year sky  /omi 12

 楽しいクリスマスを終えて、年始まで馬車馬のように休みなく働く。

 でも仕事なのに楽しくて仕方がない。
勿論シンドイ時もあるけれど、好きな事を仕事で出来るのは幸せで有り難い事だと思う。


 巷で話題の曲や、売れた曲の表彰式をいくつか終えてあっという間に大晦日がやって来た。


 あの日から家で寝ると、とてつもない寂しさを感じるようになってしまった。


人間という生き物はなんて現金なのだろう……一度経験した幸せが恋しくなるのだ。


そう……桜のぬくもりや、目を開けた瞬間の安堵が恋しいのだ。


ジンちゃんはそれを「当然」だと言って笑った。


「臣も、大人になったって事だ。大人ってのは、どうやら子供よりも非力らしいぞ」

「非力?」

「そうだよ。子供の時は術をしらねえから無力ではあったけどな」

「なるほど」


大人になると言うのは複雑だ。

そんな事を思いながら、大きなあくびをした。


 大晦日のカウントダウンライブは恒例で、22時から始まる。


リハーサルを済ませて、夕飯のカツ丼を食いながら格闘技やお笑いや、歌合戦にチャンネルを合わせているとガチャリとドアが開いた。


「よお! ちょっと……お邪魔しますよ」


何ていいながら二日酔い気味の大御所バンドマンのおじさんがフラフラと入って来た。


 みんなで顔を見合わせてフリーズする。

オレ達からしたら雲の上のような、ものすごいキャリアの人だ。
なぜここにいるのだろう? と、みんながみんなを見回す。



「なんか……粗相した?」

「いや。してねえ」

「たぶん」


ユーマくんとジンちゃんが身を強張らせた。

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