プラスチックエリア【完】(オリジナルバージョン)

Cloudy sky 1 /omi 13

 禍福はあざなえる縄のごとし。

とはよく言ったものだ。


 ジンちゃんの実家から一足先にマンションに戻って、桜の家にケーキを届けた。

 桜はそれは喜んでくれて、部屋でお茶を御馳走になって帰るところだった。

 まっさんから電話があった。
まっさんは大きくため息をつくと言った。


『ウイークが、オミくんのおかあさんの居場所、つきとめたみたいでさ。もしも先方もOKなら対談っていうか、感動の対面しないかって言って来たんだよね』


「……なんだよそれ」


声が震えているのがわかった。

いつにない声色に桜が不安そうに心配そうにオレを見上げた。

大丈夫と口パクで伝えて桜の髪を撫でる。

桜の不安を抑えてやるためじゃない……オレが怖くて不安でたまらないからだ。

こうやっていないと、小さな子供のように泣き出してしまうかもしれないぐらい不安定だった。


 今まで、3年。

デビューして3年もあったのに、なぜ今更なのかとまっさんは大きなため息をついた。


『社長はオミは見世物でもなんでもないってウィークに怒って突っぱねたんだ……自分も社長と同感だけとね。どこか知らないところからこんな話回ってきたら不愉快だろ? だから知らせておこうって事になったんだ』

「そか……ありがとね」

『でも、もしも……もしもだよ? お母さんが会いたいって言ってきたら、どうする? 会う? 雑誌の掲載はナシで会うことも出来ると思うしね』


オレはくすっと笑って答えた。


「まっさん。ありがとね……でも、オレはいい……会いたくないかな。今更、何を話ていいかもわからないし、向こうは向こうでなんかあるんだろうし」

『そっか……わかった。とりあえず、耳に入れとこうと思ったんだ……オフなのにごめんね』

「ううん、ありがと」

電話をきると、指先がジンジンと痺れるような感覚だった。

0
  • しおりをはさむ
  • 2673
  • 5860
/ 767ページ
このページを編集する