プラスチックエリア【完】(オリジナルバージョン)

Cloudy sky 1 /omi 14

 嵐は突然やって来る。


あのライブから1週間ほど経った。

ナーバスな感情もようやく癒えて、ただ穏やかな日常が戻ってきたような気がしていた。


「シアンくん」

学校でシアンと呼ばれるのは珍しいことではなかったけれど、同級生ではないことを瞬時に判断してふり返って驚く。


「……」

「わすれちゃた? 議員の娘の松井。松井ミアリです」

この手の子はどうして自己紹介の時クネッとするのだろう。正直、不愉快だ。

「……なんでここにいるの?」

「えーっ簡単なことよ! パパにお願いして、編入した感じ……だからぁ私と仲良くしてくれるよね? ミリア、もうクラスでもモテモテで困ってる感じだし、ね? いいよね?」

「……」

「同じ学年じゃないのが残念、さすがに学年だけはどうにもならなかった」


驚いて大きく目を見開いた。

3学期だというのに編入してくるなんてどんな手を使ったんだろう。


「シアンに運命感じちゃったし」

うるるんとかわい子ぶって言った彼女に務めて冷静に返答した。

「……無理だよ」

「なんでよ」

さっきとは打って変わったトーンでミアリが返す。少し恐怖を感じる口調だった。

「オレ、彼女いるって言ったよね」

「……彼女」


そこにタイミング悪く桜がやって来てしまった。

「臣くん?」

「……アナタがシアンの彼女?」

「え?」

上から下と見回すとふんっと笑った。

「それだけイケメンなシアンだから、彼女ってどんだけ美女かと思ったら……わりとフツーね。ううん、フツーじゃない? ロックテイストがシアンの好みなの? ふうん」

さらりと自分の髪をかきあげて腕組みをした。

「ねえ。アンタ、あたしにシアンちょうだい。無理なら貸して」

「貸す?」

「そうよ、レンタルして頂戴。いくら? いくらでレンタル?」

ミアリはそう言ってオレを指さした。


「……それは、無理ね」

「なんでよ。ちょっとぐらいかしてくれたっていいじゃない」

 桜は溜息をついた。
桜はミアリの事を単なるファンだと思っているみたいだった。

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