プラスチックエリア【完】(オリジナルバージョン)

lovers' Sky1 /Sakura23

臣くんのお母さんは、臣くんからは想像できないような地味な恰好を必死でしているのに、どうしても派手さが抜けないような女の人だった。

 あのミアリという狂気に満ちた目をした女の子と似ている。そう思った。

 同じ釜のご飯を食べて同じ水を飲むと人は似てくるのだろうかと思いながら、臣くんと彼女が似ている所を探したけれど、どうしても見当たらなかった。

 きっと……爪の形とか、髪の癖とか、微妙な所が似ているんだろうと思いながら話を聞いていた。


どうしてこの人は、臣くんをネグレクトのような事をしたんだろうかと考えた。

亡くなったお父さんに成長ずるごとに似て行く臣くんを憎んでいたのだろうか?

本当にそうなのだろうか?

私は何となくだけど、どれは違うだろうと思った。

彼女は、誰も愛してなんかいないんだと思った。



自分しかかわいくないし、自分しか興味がないのだ。


グレーのスーツは滑稽なほど似合っていなかった。

曖昧な色合いだけれど万人受けする色だ。
こんなにも似合わないと不憫にすらなる。


そんな色のせいなのか、ライブの時に廊下ですれ違った時とは印象が違う感じだった。

こんなのは失礼だと解っているけれど、ここに来たのは自己弁護のような気がして誰の為でもないその行為は苛立ちしか感じなかった。


 それでも、彼をこの世に産んでくれた事には感謝しかない。

 でなければ、今こうして彼と一緒にいることはないのだから……そう思った時に自分でも不可解な行動に出てしまった。


 先方の弁護士さんである田中という男の人も全く印象に残らないぐらいに可もなく不可もない感じだった。

まるで大昔の昼のドラマを見たような安っぽい気分になったのだった。



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