プラスチックエリア【完】(オリジナルバージョン)

lovers' Sky1 /omi 18

 検査だとかなんだとかを入れて、3日だけの入院は極秘で扱われた。


 プラエリのシアンが入院というと騒ぎになるからでなく、今回はミアリの父親が動いていたからだ。


 特別室と言う奴は無駄に豪華で、入院中の人間にこんな調度品や絵画が必要なんだろうか? と、疑問に思いながら過ごした。


 そして治療費の他に示談金として多額の金が動いた。


 オレは最初はいらないとも思ったけれど、くれるというなら貰って割り切った方がいいと考えた。


 それを社長やメンバーに伝えるとみんな「その通りだ」と笑った。


 お金でどうこうと言う問題でもないけれど、そうするほかに解決策がなかった。

 綺麗ごとを言ってもしょうがない、そうアニが言ってオレの頭を撫でた。


「なあ、臣」

「うん」

「金じゃないってよく言うけど、それでしか解決できない人間がいるんだよ。俺らもさこんな仕事してると、無駄に金を持って……薬物にハマったり不倫したり色んなヤツがいるだろ?」

「うん」

「そう言う奴らはさ、寂しいんだよ。やる事やっちまって、ミリオンバンバンだして、次もミリオン出さなきゃって不安に潰されて、それをわかってくれる奴もいなくて……いや、いても信じられなくなっちまうのかもな」


アニは器用に林檎を剥いた。


「俺はさ、お前らがいて綾乃がいて……それだけでいいんだ。満たされてる。いい歌ばっかりが出来るわけないって思ってるし……ダメな時もあるんだ……それだから4人でいるんだって思ってる」


綺麗に剥いた林檎をオレの前に置くと笑った。


「ジンも俺も、ユーマも……臣も、4人で一人前の仕事しかできねえって事だ……みんなそれを解ってるから終わりがないし、やり切った感もない、まだまだだからな」

「うん」

アニの剥いた林檎を頬張ると少しだけ酸っぱくて甘かった。

0
  • しおりをはさむ
  • 2673
  • 5861
/ 767ページ
このページを編集する