プラスチックエリア【完】(オリジナルバージョン)

 母親だった人からは、その後弁護士を通じて電話どころか手紙すら何もなかった。


それでいいと思ったし、そうじゃないと困ると思った。


 彼女には彼女の生活があるし、オレにはオレの生活があった。

今更、あれこれとオレの時間にかかわってこられても不愉快なだけだ志意味が分からない。

ネグレクトという言葉が浸透していない時代に、そうだったオレは彼女を恨むこともなかったけれど何も望まなかった。

 だから、今もそれは同じだった。

文字通りオレは天涯孤独の身になったわけだったが、妙にすっきりとした気分だった。


 そして数日後。

例の女性週刊誌に

『プラスチックエリア シアン。天涯孤独の王子の恋人は美人同級生! 熱愛放課後デートを激写!』

と大きく見出しがあがった。

「女子高生から主婦、男性ファンも多いという超人気バンド・プラスチックエリアのベーシスト:シアン(本名:青野 臣)は中学を卒業してすぐに女手ひとつで育て上げてくれた母親を亡くした。同バンドのドラム・アニ(本名:黒瀬 晃)。ボーカル・ジン(本名:黒瀬 仁)の実家に暫く身を寄せ兄弟の様に育った」


ジンちゃんはそう読み上げて笑った。

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