プラスチックエリア【完】(オリジナルバージョン)

lovers' Sky2 /Sakura24

 卒業式が明日になってしまった。

早い……もう少し、臣くんと高校生をやっていたかった。

電話でそんな話をしたら臣くんは笑って「ふたりして留年すればよかったね」と冗談を言った。

楽しい時間はあっという間だ。


「……おにいちゃん」


厨房で明日の仕込みをしていたお兄ちゃんに声をかける。


「ん?」

「明日は卒業式なんだよね」

「ああ、そうだな。早いもんだな」

「学費とかありがとうね……って、まだ大学があるけど」

「なんだ気持ち悪いな」


お兄ちゃんはこちらをチラリと向いた。


「センチメンタルってやつか?」


「……あはは、うん……そうかもね。もう少し臣くんと高校生したかったなぁって」

「まあ、そうだろうな。でも……これからがあるから今までが終わるんだよな」

「……これからがあるから」

「違うか?」

「ううん、そうかも……ねえ。私、家を出てもいい?」


綺麗に道具を洗って手を拭いたお兄ちゃんは厨房に置いてある折り畳みの椅子に座ってマグカップを取った。

「藪から棒だな」


熱々で入れるのに作業の合間合間で飲むから、終わった頃にはすっかり冷めてしまったコーヒーに視線を落とした。


「臣くんと、同棲?」

「え」

「だろ?」

「……」


解るに決まってるだろうけど、さすがにストレートに言われると恥かしい。

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