プラスチックエリア【完】(オリジナルバージョン)

「え。そんな! いいよ!いいよ!」

「よくないよ」

「だって結婚式ってこんなにかかるんだよ」

桜は驚いたように雑誌のページを捲った。


「……だから、お金の心配ならいらないよ?」

「……」

「お金じゃないって解ってるけど……オレ、お金だけは桜に苦労させない、あとはさ、苦労させちゃうかも。オレってバカだしさ」

「……もう」


「てへっ……うーんじゃあ、言い方を変える。どっちも着てって言ったら着てくれる? どっちも見たいもん」

「……うん」

「でも。お願いっていうか……ワールドツアーの前にジンちゃんが結婚式だろ? アニはきっと来年結婚式するんだ。アヤノちゃんのお兄さん、きっと来年の選挙でるから……その兼ね合いで」

「うん」

「オレ達の結婚式、少し先になってもいい? お祝い事は続くのは嬉しい事だけど、仕事の事もあるし、2人の兄貴を立てないとね」

「ふふふ。うん、勿論……あ。ユーマさんは?」


桜は首を傾げた。

「あの2人は、まだ発展途上だしユーマ王子がちゃんとするだろうから、一足先に」

「そっか」

「オレ、よくわかんないから。桜の希望を教えて? 女の子が主役でしょ? だから、桜のやりたい所でやろうな」

「うん……ありがとう」


桜の頭をポンポンと撫でて微笑む。


「そうだ……二十歳の誕生日の後でどう? 結婚式」

「はたちの……うん! 素敵」


オレはコクコクと頷いた。


「成人式の前の金曜とか、それなら遠方に行ってるクラスの奴とかも呼べるんじゃね?」

「呼んでいいの?」

「勿論。だって……オレもちゃんと仲間にしてくれたんだもん」

「きっとみんな喜ぶ」

「全員呼ぶ?」

「全員は無理だよ! あはは」


結婚式の雑誌を捲りながら、何度もキスをした。

息が止まるほど長く、短くキスを繰り返す。


甘く優しい夜が始まった。



明日も明後日も、その次も……どこまでも続く空みたいに。


ありがとう。

ありがとう。


大好きだよ。



オレの小さな世界が無限に広がる空に変わったのは、あの日桜が空を見せてくれたから。



そう、オレは小さなプラスチックエリアから空に踏み出したんだ。


The story continues……?

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