プラスチックエリア【完】(オリジナルバージョン)

汗まみれでカラカラの体にビールが沁みた。

ジンちゃんもアニもユーマくんも、サポートメンバーの人たちもスタッフさんも……ファンのみんなもオレを見て笑った。

ハッピーバースデーの歌の大合唱が今年も始まって、オレは照れながらビールを飲みほした。

「シアンおめでとう!」
「はたち!」
「大人、大人」

ワシャワシャとジンちゃんに頭を撫でられて、汗の粒がライトでキラキラと落ちていく。

「あはは! どうもありがとお、ございます!」

キャー! わぁー! と歓声の波がオレに押し寄せる。

「酔っぱらうなよ」

「酔わないよ、少なくともジンちゃんよりは強いよ」

「うお、生意気!」

4人で再び乾杯をして、笑った。

オレはベースをガアンとスラップさせた。

ソロでバンバンとベースを鳴らすと、ユーマくんがヒラヒラ踊りながら混ざって来た。

アニがビールの缶を置くと、タムを踏んでじわりじわりと混ざって、スティックをくるくると回す。


「いいねぇ。ハッピーバースデー。アーンド! ハッピーハッピーニューイヤー」

キャー! っと会場が答えた。

「SAY! Trash!」

バアンと銀テープが舞って、ジンちゃんが叫び出す。
ビールのアルコールなんか一瞬でぬけるような汗をかいて、アンコールになる。

アンコールのときはいつもこうだ。

プラエリは終わらないのに、終わってしまうというものすごく悲しい気持ちになる。



「俺たちの音楽、聴いてください! お前らに最高のプレゼントくれてやるぜ!」



もっとオレの音を聞いてくれ。

もっと、弾かせてくれ。

体中が音楽で溢れる、ジンちゃんの声が跳ねて踊って、ユーマくんが華やかにメロディーを揺らす、アニがワルツみたいに正確にリズムを刻んでワクワクが零れだすんだ。

ベースの低い音が重なると、プラスチックエリアの音になる。



4人の恋がつまった歌は、ドラマの主題歌にもなり年末の賞を沢山もらった。

その賞も勿論嬉しいけれど、4人の愛すべきパンクな彼女たちがその曲を聞いて喜んで笑ってくれたことの方が大きな誉だったのだ。


ああ、終わらないでとみんなの声も悲鳴のように聞こえる。

堪らない止まらない大好きな大切な音の粒が、オレ達の、みんなの上に降り注ぐ。


これまでも、ここからもオレ達はいつもプラスチックの箱の中に幸せを詰め込む。

沢山の幸せの欠片を浴びるように手を振る。


オレ達の音楽はまだまだ続いていく。

オレと桜も……あの屋上の空みたいにどこまでも……。



「また、会おうぜ。愛すべきプラスチックボーイズ&ガールズ」

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