プラスチックエリア【完】(オリジナルバージョン)

感謝SS /1

「8月は忙しいんだぁ」

『そっか』

「だから、急だけど……明日とか時間ある? 昼からオフになったんだ」

オレがそういうと電話の向こう側で桜が息を飲み込んだ。

『時間ある! なくても作る! ってか作る必要なく、ある!』

「あはは! じゃあ……迎えに行くから待ってて?」

『うん、たのしみだなぁ。ふふふ』

かわいいなぁと思いながら電話を切ってスタジオに戻る。



高校生のオレは夏休みに入ったわけだけれど、7月の終わりからライブツアーに出て合間にフェスに出させてもらう。


「あー、美里の飯が食いたい。なんで桜ちゃんちのパン屋さん休みなんだよ! 臣! どうなってんだよ!」

お腹が減ったジンちゃんが絡みはじめる。

「オレに言われても」

「そうだよ、ジン。さすがに臣くんじゃどうにもならないよ」

「牛乳飲みてぇ」

「桜のところさ、お兄さんのお嫁さんの方の法事なんだよ」

ジンちゃんはムムっといいながらソファに寝転がった。

「じゃ。しょーがねえな」

ケイタリングにあきたオレたちのために、桜のお兄さんが持ってきてくれたカレーもその日のうちに終わってしまった。

「寸胴鍋のカレーライスが1日でなくなるとか、臣がくいすぎなんだよ」

「みんなで食べたらなくなるよ!」

ぶつぶつというジンちゃんをよそに、シウマイベントウを食べ終わったオレはテーブルの菓子パンに手を伸ばした。

「成長期かこのやろー」

「もう、うるさいな。ジンちゃんも早くお弁当食べなよ!」

モソモソと起きたジンちゃんはお弁当を食べながらオレを見た。

「いいものやろうか」

「何?」




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