純情ロマンチックヒーロー【完】 

3恋は欲張りになるもの /1

「ま! マキちゃん!」

 翌日、昼休みを待てずにマキちゃんの腕をつかんで女子トイレに連れ込んだ。

机の中にはレポート用紙のお返事があったけれど、昨日忘れて帰った教科書に書いた

『コンノ シンイチロウ』という落書きを見られたんじゃないかと死にたい気分だった。

おそらく、人数も少ない定時制なら心ちゃんも
紺野くんの事を知っているだろう。

仲がいいかどうかじゃなくても、顔ぐらいは合わせたことがあるに違いないのだ。

そこまでマキちゃんに話して机に入っていたレポート用紙を開げる。

「……」



【れんさんへ
れんさんが思っているよりもきっと今の髪型は似合うと思いますよ。

自分も髪を切った日は好きな人に会うのにとても緊張しました。でもその人はとても似合うといってくれて安心しました。
心配してるのは自分だけなのかもしれませんね。自信を持って好きな人と話ができますように】

「……フツーに返してきたね。これって、れんちゃんを最初から女の子ってわかっていたからなのか、あえてこの返事なのか悩むよね」

「うん」

私はそれをたたんでポケットにいれると大きなため息をついた。

マキちゃんはうーんと考えてから言った。

「私の思い過ごしだったかな?」

「ううん、ありがとうね」

「男の子にしては丁寧な文章かもね……まぁ男の子ならそれはそれで面白かったけれど」

「あはは、そうだね!」

マキちゃんは笑いながらリップをぬった。

「まあ、後夜祭で会えるしね」

「うん」

そう返事をして笑ったけど、本当のところ心ちゃんが心くんでもどっちでもよかった。

何かのつながりでこんなに広い学校の、同じ机を使うなんてなかなかないから……友達になれたらいいと純粋に思ったんだ。

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