純情ロマンチックヒーロー【完】 

「絹代さん、あの物置。屋根の端っこがめくれてるぞ、中の物大丈夫なのか?」

「そうなんだよ。この前の台風でねぇ、今のところ中は平気だけど次に台風が来たらダメかもねぇ」


おばあちゃんは窓の外を見ながら溜息をついてみせた。

 つい先日の台風の余韻残る突風で物置の屋根が一部だけれど捲れてしまった。

 おじいちゃんが作った木枠のプレハブの小屋だ。
屋根はトタンなのかプラなのかよくわからないけれど単純な造りだと思う。


「明日、シンを寄こして修理させるよ」

「え?」

「波板のあまりがあったよな?」

「あ、はい。倉庫にあります」

「コイツね、そういうの得意みたいでさ。なんつーんだっけ? DIY?」

「ああ、なるほどねぇ。さすが男の子だ……シンくん、よろしくね。うちは婆さんと若い娘の女世帯だから力仕事や高いところの仕事がどうも後回しでね」

「絹代さん、なんかあったら遠慮なく言ってくれよ?」

「はいはい。じゃあ明日頼んだよ、シンくん」

「……はい」

「マサちゃんもありがとうねぇ」


紺野くんは恥ずかしそうにスイカをパクンっと食べた。


マサさんは庭を見回して言った。


「そういやフクがいないけど」

「フク?」

「うん。怖い顔の犬いただろ?」

「ああ」

紺野くんは納得したように頷いた。


「フク……そろそろ降ろしてやんなきゃ……でもまだ掃除とかありますよね」

「構わないよ。降ろしてやって」


そう言ったマサさんはニコニコと笑った。



「ありがとうございます……紺野くんは、犬平気?」


「……うん。犬も猫も好き」

コクンと頷いた仕草がフクにしか見えない……そう思いながら立ち上がった。


「つ、連れてくるね」

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