溺愛のお姫様【完】

第八章 /~愛夢side~

梨椏と店を出たときだった。

見覚えのある若い夫婦がベビーカーを押していた。

梨椏の呼び掛けに気づかないくらい内心すごく焦っていた。

……何も起きないで。何も私に言わないで。

でも私の願いは届かなかった。二人と目が合うと二人は目を見開き、私に歩み寄ってきた。

……来ないで。お願い、通りすぎて!

「……ねぇ」

「…………っ」

顔をあげれない。乱れそうになる呼吸をなんとか我慢して落ち着くように言い聞かせる。

「あなた……」

何も言わないでっ……

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