好きと言って、キスをして。

終わりの足音 /抱きしめて

ーーー

「じゃあ、俺行くね」
「はい…」

あのあと、予定通り映画を観た。

その間中、手を繋いでいた。


夕方になって、彼が家を出て行く。

「また連絡していい?」
「……私も、します」

「いい?泣きたい時は、ちゃんと言うこと」
「はい」

小指を絡める。

クスリと笑って、指切りげんまん。

「大久保、さん…」
「うん?」

「………ありがとう・・・」
「……うん」

「じゃあ、気をつけて…」
「うん」

「………」
「………」

一瞬顔を寄せた彼だけど。

「またね」

くしゃりと頭を撫でて、大久保さんは家を出た。


不思議な人。


積み重なったいろんな気持ちを、
取り除いてくれる。

私は彼に、
もらっている優しさのほんの一部でも
返すことが、できるのだろうか…。


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