好きと言って、キスをして。

終わりの足音 /恋の価値

「いつまでそーしてんだよ」
「もう少し」

右手に光る指輪を、飽きることもなく眺めていた。


指輪を買ったあと、ホテルに戻ってお昼を食べた。

ドライブしながら、海に来て。

今、お互いの右手には、
おんなじ指輪があって。

「嬉しかった?」
「うん」

嬉しくないはずがない。

英二さんの指に、同じ光が宿るのは、こうして2人、そばにいる間だけ。

そんなのはわかりきったこと。

だけど。

たとえほんのわずかな時間でも、
お揃いの指輪なんていう、恋人の証をもらえたことが、たまらなく嬉しい。

「いお」

そろそろ帰ろう、と、立ち上がって私に手を伸ばす。

もう、そんな時間。

夢のような時間は、もうおしまい。

「また、こよう」

口約束で、かまわない。

次もあるのだと、これで終わりではないのだと、
そう思わせてくれたらそれで。

「夏になったら、これるかな」
「・・・ああ」

海に沈みかけた夕日が眩しすぎて、そう返事をした英二さんの顔は、よく見えなかった。


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