好きと言って、キスをして。

この恋を抱きしめて /安心する手



ーーー

「大丈夫ですか」
「うん、ビショビショだけど」

「更衣室にドライヤーとかありますけど」
「ん、借りるわ」
「じゃあ持ってきます」
「わり」

あれから数日。

外は土砂降り。
運悪く傘を持ち合わせなかった及川さん。

頭からバケツかぶったみたいになってる。

「はい、早く拭いて下さい風邪ひきます」
「ん、さんきゅ」

「日中じゃなくてよかったですね。そんなペタンコの髪じゃ外出れないですもんね」
「だな。不幸中の幸いってやつ?」

タオルで頭をガシガシと拭く及川さん。

「大丈夫ですか?帰りまでにスーツ乾くかな…」
「ま、帰りは車だし大丈夫。つか、大丈夫じゃねーのはお前だろ?」
「え?」

パチン。

「った…!」

飛んできたデコピン。

「朝から思ってたけど、顔色悪すぎ」
「ぁ…」

「具合悪いなら無理すんな。真っ青だぞ」
「なんでそういうこと、気付くんですか」

「アホか、誰でもわかるその顔じゃ」

確かに、頭痛はひどいし体もだるい。

雨のせいだからかな、なんてごまかしてたけど。

まさか及川さんに言われるとは。

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