好きと言って、キスをして。

ヒミツの恋 /優しいひと


「……よし、終わり」

最後の打ち込みを終えて、時刻は定時から2時間を過ぎた7時。

「あ…」

ラインきてる。

『お疲れ様!ごめんね返事遅くなって。今日も残業かな?終わったら教えてください』

「大久保さん…」

その文面に、くすぐったい気持ちになりながら会社を出る。

「おう伊織ちゃん。今帰り?」
「はい、お先です」
「遅くまでご苦労様。気をつけてね」
「はい」

玄関で、現場戻りの営業さんに挨拶して、駅に急ぐ。

「………出るかな」

早足で歩きながら、電話。

『もしもし』

出た!

「あ、伊織です。お疲れ様です」
『お疲れ様。はは、思ったより早かった』
「すみません。お待たせして」

『いや。俺もさっき終わって、駅に向かってたところだから大丈夫だよ』

いつもと同じ、穏やかで優しい声に、
疲れが癒される。

『何分の電車乗れそう?』
「んーと、15分発のには間に合うと思います」

『了解。じゃあいつもと同じ、改札のところで待ってるね』
「はい、わかりました」
『気を付けておいでね。それじゃ』

嬉しさを隠せず、駅まで走った。

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