敢えて言葉にするならば[完]

言い逃げなんざ御免です



「かないそうもないな、これは」


はぁ、と溜め息を出すと同時に森谷さんが言った。


何のことか分からずに首を傾げると、



「だって、日向さんはその人と関わりたくなかったんだろう?」

「?はい」


森谷さんはまだ意味の分かっていない私を見て苦笑する。




「そんな風に思ってた相手を好きだと認めるんなんて、相当の想いがないと出来ない」


完敗だよ、と言葉を落とす。


誰かにそう言われると、妙に痒いような、変なふわふわとした気分になる。


どう言っていいか分からない。

何かとても言いたいことがある筈なのに、出てこない。


肝心なところで、結局何も言えない。



するとがたり、と音が聞こえた。

視線を向けると、森谷さんが席から立ち上がっていた。



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