敢えて言葉にするならば[完]

乗ってしまえよ、想うがままに




―――近付いてくる。

もう片方の声が。
次第に足音も聞こえてくる。



『「そんな大きな雪だるま、手袋もなしで作っちゃって」』


上手く、頭が動かせない。
今の状況を、理解できない。

私は振り返ることもできず、ただ携帯を握り締めたままだ。


理解できていない。

けれど、目頭が熱くなった。



「ねぇ、日向?」


最後に囁かれた言葉は1つだった。



振り返られない。
足が貼り付けられたように、動かせない。


「西杉・・・っ」


ただ、ただ、熱くて。


ぐわり。
世界が揺れる。



「遅れてごめん。・・・ただいま」


気が付けば、温かいものに包まれていた。
細く、けれど力強いものが、私の体に回ってる。


この、温かさは。



  • しおりをはさむ
  • 1102
  • 877
/ 464ページ
このページを編集する