敢えて言葉にするならば[完]

変態への目覚め



「日向」



そこには、大嫌いな男が立っていた。


部屋が汚くて、減らず口で、我が儘で、強引で、何を考えてるのか全く分からない奴。


拒絶したのにも関わらず、本気の拒絶はしてないと決めつける奴。

あんたの為なんかに泣きそうになる訳がない。
絶対あんなの嘘だ。


人を流すのが上手い奴。


そのせいで戦意喪失をしてしまった私。




「日向」



呼ぶな。
お前のその声は妙に柔らかくて、調子が狂うんだ。




「本当は、俺に近付きたくて仕方ないんだろ?」


んな訳あるか、バカ!!!



すぐさま言い返そうと、私は口を開く。


―――が、声が出ない。

そういえば、体も動かない事に気付く。




「俺と離れたくなくて泣きそうになってた癖に」


なってないわ!!!


否定したいのに、出るのは空気だけ。



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