鼓動が聞こえる

作者ゆめ

看護師として働く茜はとある秘密がある。それを偶然知ってしまった医者の大翔。支えたいと思う大翔と誰にも頼りたくない茜はぶつかりながらもお互いの本音を理解していく

ドクン ドクン




これで何回目だろうか。




人間はこの世に生まれる前からお母さんのお腹の中で小さな心臓を懸命に動かしている。





1分間で平均70回




1日で約10万回




その間絶え間なく動き続けている。





でもその鼓動を私たちが感じ取るのは意識を向けた時だけ。




走った後


好きな人の前


親の胸の中で寝るとき






鼓動を聞いて「生きてる」って感じる人はどれくらいいるのかな。






ねぇ、私は生きてるよ!





苦しいのは心臓が頑張ってるから




だから私も弱音は吐かない







笑顔でいるって決めたから





頑張ることを諦めたくないから














彼女はいつも笑っていた。




起こったことは全て受け止めて





だけどさ、傷つかない人間なんていないだろ?






強気でいることが彼女が自分を保つ唯一の方法だったのかもしれない。





でも壊れてもいい





一人で戦うなんてさせたくない。






懸命に生きる君を支えたい。







ねぇ、俺を頼って?







きっと願うことは同じはず。












ねぇ、神さま?






私に生きてる証拠をください。


茜に生きる意味を与えてください。