君が想うより、ずっと ⑴【 編集中です】


社長室に入る手前にある秘書室に入るなり、長谷川朋希ハセガワ トモキが声をかけてくる。
こいつは俺の秘書で、俺がガキの頃から連んでいる数少ない友人。
仕事中とプライベートをきっちり分けていて、仕事中は敬語で呼び名も社長。プライベートのときは傑と呼ぶ。
俺は正直どっちでもよかったが、仕事とプライベートは分けろとうるさいので仕事中は長谷川と呼んでいる。

「…お前、佳乃からなんか聞いてねぇか」
「いえ、特には」
「なら、いい」

秘書室を抜けて社長室に入り、定位置にコートをかけた。
ポケットからスマホを取り出してディスクに置く。
椅子に座ると大きなため息が漏れる。
あーくそ。仕事…する気になれねぇ。こんなこと今まで一度もなかったのに。
それもこれもあのガキのせいだ。

スマホの画面を確認するが通知は何もきていなかった。
今は午前11時。ということは向こうは21時だ。まだ仕事中だろう。
連絡が来るなら14時を回るだろうか。
どちらにせよ、仕事をする気になれないし、ここで連絡を受けるわけにもいかない。いくら長谷川だとはいえ聞かれては困る。
仕事は家に持ち帰ってしよう。

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