ナイショの恋は、あのねのね【完】

10.ナイショの夜





空気が変わったのを感じて、静かに目を開けた。



世界が既に眠りに入った夜だった。


時間も深く、夜の闇も容赦なく部屋に注ぎ込んでいる。


何の音もしない、確かに自分しかいないはずのこの空間に、別の気配を感じた。



「……朔?」



そう首を少しだけずらして、闇の中に声をかけると。


ある空間が揺れたのを感じた。


だんだんと目が暗闇になれ、いつしかその存在をしっかりと認識できるようになる。


私が寝ている布団の隣で、朔が静かに座っていた。



「……朔?どうしたの……?」


「……」


「今日は打ち上げ、朝までじゃなかったっけ……」



明日が休みだから、今日はカラオケオールだとクラスの皆が騒いでいたのを思い出す。


朔も参加してたから、今もそこにいるはずなのに。



「……」



布団から朔を見つめると、何も言わず私を見下ろしていた。


カーテンの隙間から僅かにさしている月明かりが、朔の顔を照らす。


美しく、彫刻のような、いつもの見惚れてしまうような顔が。


少しだけ哀愁を帯びていた。



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