ナイショの恋は、あのねのね【完】





夜も更けた駅には、もう人気がなかった。


気づいたら最終列車が出る時間で、今日が終わるのもそう遠くはない。


改めて街を振り返ってみる。


私が生まれて、大半を生きてきたこの街。


大きくもなくて小さくもない、なのにやたらと世間が狭くて、ちょっとした秘密もすぐあちこちへ広がってしまって。


幸せなことももちろんあったけど、辛いことの方が断然多くて。


けれど。



「……朔」



出会えたのは、ここで生きることが出来たから。


さようなら、私の生きた場所。


最後に笑みを浮かべて、駅に歩き出した時、聞こえたのは。


強い力で私の足を止めるのは、いつだって。







「───名前呼んどいて、無視はすんなよ。
……呉羽」







愛おしい、その美しい向日葵だ。




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