源義経黄金伝説 第四章 一一八六年 足利の荘・御矢山●頼朝、流鏑馬で戦う●

作者飛鳥京香

一一八六年足利の荘・御矢山にて、義経の行方と奥州黄金を巡り、西行と頼朝の、武芸競技場での弓矢。流鏑馬の対決!

西行は、くらくらと、緊張し、少しよろめいた。やがて、中央土壇にいる人物がゆっくりと立ち上がり西行にかたりかけた。

 源頼朝である。

 最初に、西行を扇子で指し示す。


「高き所より、失礼する。今は私がこの祭事の主催者なのです。聞いて下され。御家人衆の方々。ここにおられるは、西行法師どの、元の名は、佐藤義清(のりきよ) 殿。鎮守府将軍藤原秀郷(ひでさと) 殿御子孫です。わが願いにて、ここ御祭りに来ていただいた」


 驚きの声があがる。

 平将門を討った藤原秀郷は、この坂東地方では、武士の鏡である。

「そしてまた、西行殿は、奥州藤原氏との御親戚だ」

再び感動の声があがる。

「さらには、今は、奥州藤原氏よりあづかった、奈良大仏塗金用の砂金を運んでおられる」

三度、声が、ご家人からあがり、競技場に響きわたって。

頼朝は、この御家人の歓声を受けてほんのり顔を赤らめていった。