彼が知る幾粒かの夜のこと【完】

作者隼海よう

始まるべきではなかった夜の終着点を、私は知らない。ーー 夜の底で砕け散る、彼と彼女の儚く青い祈りのお話。






私は見ていた。




彼の恋がゆっくりと終わっていくのを、




触れたら壊れる飴細工が




少しずつ体温で溶けてなくなってしまうように、




彼の気持ちが外側から柔らかく消えていくのを




ただ黙ってじっと見ていた。














ーー あいしたかった












2017.09.18