Crescent Moon Ⅰ【完】若頭ハルと私の物語

第3章 /立場




ハヤトが薬を持ってきて、タクがハヤトから奪ったらしいミネラルウォーターとコップを運んでくれた。



お腹がいっぱいになり、薬の所為で眠くなった私はいつの間にかうとうととしていたらしく、

目が覚めると、窓から射し込む陽の光は、早くも茜色に染まっていた。



部屋の外からは微かにゲームをしているらしい音が零れてきて、時々、あーっ!、とか、っくしょーっ!と喚いているタクの声が聞こえてくる。



ベッドに座ったまま、しばらくぼーっとした頭を抱えていたけど、何となくベタついた身体が気持ち悪くて、シャワーを借りる事にした。



そっとベッドから降り、リビングへ足を運ぶと、テレビの前で這い蹲りながらコントローラーを動かしているタクと、

相変わらず、ソファにふんぞり返って煙草をふかしているハルがいた。

ハヤトは…

…見当たらなかった。



「あの…」



「うおっ、沙羅っ!」

ワンコ・タクはパタパタとしっぽを振っている。



「シャワー、お借りしてもいいでしょうか?」

ハルに訊いたつもりだったのに、

「おっけおっけ!あっ、場所、わかんないよねっ?こっちだよ!」

タクはリビングのドアの前まで来ると、振り返って私を待っている。



…やっぱりワンコだった。



「こっちこっち!沙羅、一人で大丈夫か?何なら俺が一緒に入ってやってもいいぞ?」



…いくらワンコでも、それだけは遠慮します。


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