Crescent Moon Ⅰ【完】若頭ハルと私の物語

第4章 /美しい人




トウコさんと話し込んでいるうちに、すっかり時間が経ってしまって、お店を開く時間になった。



「ハルの事、宜しくね?」

トウコさんは、またいつでも遊びに来てね、とビルの1階まで見送ってくれながら、こっそりと耳打ちした。



私には兄弟がいないから、こんな風に弟を思ってくれるお姉さんがいるハルが羨ましかった。

そうしたら、きっと私の人生も少しはマシだったかも知れない。



「行くか?」



ハルは少し先で、手を差し伸べて待ってくれていた。



「うん!」



小走りで近付いて、その手に自分の手を重ねる。

ぎゅっと握りしめてくれる大きな手はあたたかく、その少しくすぐったいようなぬくもりは、全身を巡ってほんのりと胸の奥に留まった。

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