Crescent Moon Ⅰ【完】若頭ハルと私の物語

第4章 /消えていくもの




少しずつ、歯車は狂い始める。

一つ、掛け違えた釦は上手く留められない。



この日、私を迎えに来たのは黒塗りの車ではなく、バカでかいバイクだった。



たまたまこの日は、図書委員の仕事があって、すぐには降りられなかった。



昇降口へ行くと、もうそこには大勢のギャラリーが出来ていて、靴を履き替えた私は、その人波を掻き分けて行かなければならなかった。



きゃぁきゃぁと黄色い歓声が飛び交う中、「すみません!」と言っても通してくれそうにないギャラリーを、無理やり掻き分けて行く。



「痛っ!」

「ちょっ、何よ、あんた!」



前に進むだけで、たくさんの敵が出来た。そして、その後で追ってくるのは、

「あいつよ、一瀬 沙羅!」

「何であんな子が…!」

そんな声にももう慣れた。



「沙羅ちゃんっ!」

真っ黒なバイクに寄り掛かって煙草をふかしていたのは、金髪の総長さんだった。



「ハヤト?」

キョロキョロと辺りを伺っていると、



「俺じゃあ、不満?」

ハヤトがやれやれと苦笑した。


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